すべての魔力であなたの元に 

すべての魔力であなたの元に 

last updateLast Updated : 2025-10-16
By:  月山 歩Completed
Language: Japanese
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Synopsis

強いヒロイン

転移

ハッピーエンド

魔女

貴族

浮気・不倫

誤解

大魔法使いジュリアは、貴族の男性と結婚して娘を授かったが、育児中、毒を盛られ命を落とす。 こんなことをするのは、私を嫌う魔法使い?夫?その愛人?嫌われ過ぎてわからない。 そのさなか、娘が心配なあまり最後の力を振り絞り、転生の道を選ぶ.魔力を使い切った彼女は、姿が違うただの民になっていた。

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Chapter 1

1.魔女の終わり

「うっ、ぐはっ。」

 この世で最も魔力量が多いと呼ばれるジュリア・ハミルトンは、ワインを飲んだ瞬間、喉が焼けるような痛みに襲われ、吹くように血を吐き出した。

 お気に入りのドレスは血にまみれ、視界は暗く滲んで、意識が遠のき、その場に崩れ落ちる。

「ジュリア様!」

 私付きの侍女であるポーラが、驚きの表情を浮かべ、私に叫ぶように声をかけているのが聞こえるが、もう言葉を発することも、呼吸をすることもできそうにない。

 私は邸の寝室で、一歳になりつかまり立ちし始めたカレンを抱きしめた直後、喉が渇くためワインをぐいと一口で一気に飲み込んでしまった。

 この喉を焼くような痛みや苦しさは、ただの病気ではないわ、毒ね、毒がワインに入っていた。

 致死量を優に越える毒が、瞬く間に身体を駆け巡る。

 どうして少し含むようにして、ワインを飲まなかったのか。

 せめてほんの一口なら、命は助かったかもしれないのに。

 今更遅いけれど、止まらない後悔が押し寄せる。

 まさか自分が住むブライトン邸で、こんなことが起こるだなんて、思うはずもなかった。

 だって記憶にある限り、この王国内で毒を盛られるなんて話は、聞いたことがない。

 毒についての記録は、古物書に載っている程度で、ただの知識でしか知らない。

 まさか、そんな危険な物を使った事件が実際に起こるなんて、誰もが想像しないだろう。

 この王国は、良いことばかりではないけれど、危険な他国に比べて比較的安全だと言われている。

 それは、私達、魔法使いが日々結界を張って、魔獣などから国を守っているからだけど。

 寝る前の穏やかな時間であるはずが一転して、今日が人生最後の日になりそうだ。

 痺れた手足が動かず、床に倒れたまま、かろうじて視線だけを動かし、娘を探す。

 目がかすんでしまい、もうよく見えないが、何とか視界の端に、カレンがベビーベッドの中で、スヤスヤと寝ているようすを確認する。

 良かった。

 カレンは無事なのね。

「ジュリア様、嫌、いなくならないで。

 すぐに侍医を呼んで参りますから、お願い、お願い。」

 駆け寄ったポーラが私を抱き起こし、悲痛な声をあげる。

 必死に私に呼びかける彼女の声が遠くで聞こえるが、私の命はもう間に合わないと本能的に悟った。

 ごめんね、ポーラ、その約束もう果たせない…。

 彼女が私をその場に横たえ、走り去っていく足音が遠ざかる。

 それにしても、誰が、誰がこんなことをしたの?

 毒を盛るほど人に恨まれるようなことを私は何かした?

 私を妬む魔法使いの誰か?

 それとも政略結婚した夫のセオドア様?

 その愛人のローレッタ?

 薄れゆく意識の中で、必死に考えても、答えが見つからない。

 残念だけど、確かに私はあまり好かれていないわね。

 だから、誰の仕業なのか、見当もつかない。

 私はただ一歳になったばかりのカレンを大切に育てていきたいだけなのに。

 私がいなくなったら、この子はこの先どうなるの?

 セオドア様はローレッタと親しくするばかりで、カレンを大切に育ててくれるかどうかわからない。

 さすがに自分の子だから、毒を盛るようなことはないだろうけれど。

 でも、魔法使いの血を受け継ぐカレンには、そばで魔法の使い方を教えたり、サポートする者が必要だ。

 けれど、セオドア様には魔力がなく、魔法の使い方を教えることができない。

 私がしないで、誰がその役を担えるの。

 カレンの将来が心配だわ。

 私の代わりにこの子を誰か親身に育ててくれないかしら?

 ポーラなら魔力はないけれど、私の代わりにカレンを育ててくれるかもしれない。

 大魔法使いと言われたこの私が、こんな毒如きで、命を落とすだなんて信じられない。

 せめて最後の力を振り絞って、何かできることはないかしら?

 治癒魔法を使えない私は、毒を解毒することはできなくても、何か、何か、できるはず。

 だって私は王国きっての大魔法使いよ。

 考えて、考えて。

 そして私は、薄れゆく意識の中、唯一の方法である転生する道を選んだ。

 今、ありったけの魔力を使うから、転生した先で魔法を使えることはないだろう。

 だからどの道、魔法使いである私はもう消える。

 けれど、それが何だと言うの、カレンのそばにいられたら、魔力なんてなくたっていい。

 命がある限り、母としてできることがあるはずよ。

 次の瞬間、キラキラと金色に光るまばゆい光に包まれて、私の魂は来世へ旅立った。

 大魔法使いである私の肉体は、二十六歳という若さで生涯を閉じた。

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